アンテナはアンチ手懐けの略

携帯電話で自撮り。どんなに気持ちが昂っても逆パカなんてせずに、とりあえず自撮り。画素数上昇、自撮り。インカメも外カメの画質と遜色ない、自撮り。二つに折りたたんで画面を仕舞うことで得られていたあの安心感はもうないのだけれど、何事も慣れ。折らなくても案外いけたわ。そんなことより平らな板が提供する瞬速ワールドワイドウェブ、毛穴まで見える高画質、無かった頃には戻れない。世の中も変わった。それはさておき、手から滑り落ちないように注意を払って、自撮り。手軽に実物を超える術まで普及された、が、それは何だか面白くなくて、気にしつつも意識的に無視して、自撮り。

 

病める時も健やかなる時も自撮り。始めてからもう、十五年くらいになるのだろうか。決して見目麗しくない女の自撮り。偶然「やたらと良く写り過ぎてしまったもの」は、ここでいうところの自撮りとしては宜しくない。だから、それを踏まえた程よい角度も熟知している。あくまで現実的な姿であることが第一。

 

自分が認める自分の魂、的なものを嘘くさくならない程度に美化して、姿として見れるものにして収め、目視確認する。自分が重視するものを改めて意識する。これが目的。全ては自分の為。

 

それらしく理由をつけてみたが、自撮り行為が癖になっている、というだけの話だ。そして人のも見たい。みんな、顔、見せてほしい。一般人の、一見気取っていないようできちんと自意識が働いている写真、何処で見られるのだろう。