怠惰という字は怠惰な気持ちでは筆記出来ない

「なんもしたくなーい」「わかるー」とか言ってるけどさ、多くの女のひとって、その上で

 

保湿したりムダ毛剃ったり化粧したり定期的に美容院行って頭整えたりTPOに合わせた小綺麗な服着たり靴履いたりして、そんで仕事して職場の人と談笑して、帰ったら私の生活も営んでるんでしょ。子どもいたら子育てまでして。ありえねえ。体力、ありすぎ。

わたしはというと、それはそれはみすぼらしい格好で、六年目、間で子ども産んで休んでるけど、いつまで経っても慣れない、大学卒業間近で内定ゼロで親泣かせたくなくて焦って行なった職業選択、の大いなるミスにより、完全に自分にとって不適性な仕事に就いてしまった故にそれはもう毎日同じことで叱られたり心配されたりして、でもまあ生活があるから辞められなくて、で、帰ったら盛大に弱音を吐き散らかしながら、子どもと食べて寝るだけ、だ。

顔も髪も毛の処理も何もかも怠っている。ファサッ となる寸前で、ずっと刃を替えてなくて全然剃れないシェーバーで申し訳程度に剃っている。眉毛なんかはいい形だねって偶に言われるのをいいことに、ほぼ触っていない。よく見るとモサモサしている。デコとかうなじの産毛なんかは、もはやウブじゃねえ。
美容院には一年半近く行っていない。ただただ伸びきって、背中の下半分地点くらいまで到達している。背が低いので、この長さまであると全体のバランスを欠いているように思う。っていうか、ヒッピーの髪の方が綺麗なんじゃないか。シャンプー、リンス、看過できないほどの酷い絡まりを解く、以外の手を加えていない。黒の中に数本、三年前にやったブリーチで色素の抜けた毛が混じっている。前髪は時々切るけどまぁガタガタ。今はそのまま、ガタガタに伸びている。切るのめんどくさい。

 

気に入ってた時計は電池替えて一年もしないうちにまた止まって、そのまんま。イヤリングは片耳失くして、二度目だからもう買いたくなくて、つけなくなった。ネックレスはチェーンが切れて、そのまんま。財布は七、八年使ってボロボロだけど(二万やそこらでは)欲しいのがないから買い替えていない。服も(一万円以内とかで)欲しいのがないから買ってない。靴も、鞄も、眼鏡も(以下略)。
頭をつかわず、少しの金で済む買い物しか出来ていない。酒とたばこと文庫本しか買ってない。

 

たとえ大事なものや小金があったとしても、生きる気力が無くなってしまえば、 女は、否、人は、見た目に乏しく成り果てる。
地に落ちてしまわぬよう、なんとか、這い上がらねば。