薄橙色の便箋に、滋味深い筆跡で

実家に帰っていた。自分宛の宅配便が届く。

受け取った父が、差出人の名前を読み上げる。静岡在住の松口弥代子という女からだった。名前に聞き覚えも心当たりもないが、聞いたことあるかもしれなーい、とわざとらしく呟きながら包みを開く。

 

送られてきたのは、クッションカバーくらいの大判、向こう側が透けて見えるほど薄切りの和牛と、枯れかけた胡蝶蘭だった。

 

いつの間にか、牛肉は母の手により一枚一枚ソファとクッションに広げられ(所々重なっているが、何故か「敢えてそのようにされている」ことが分かる)、丁度一体化し、クッションカバー然としている。そして胡蝶蘭の鉢の置かれた部分の床だけが、宇宙空間になっていた。

添えられた手紙には、「その包みを開けたら、入信の意思があると見なす」と書かれていた。

 

うーん、鮮明だ。特に、差出人のところと生肉のテクスチャー。とにかく気持ち悪くて、思いっきり目が覚めた。不眠、なんとかならんかね。